2021年10月 dodoは群馬県藤岡の達磨窯さんを訪ねました。
時を遡ること二年前。
2019年9月末に、設計を担当してくださったビオフォルム環境デザイン室の山田さんと出会い、ご自身が設計と土壁などの家づくりに携わった里山長屋にお邪魔しました。
そこで出会ったのが、達磨窯の瓦タイル
里山長屋のコモンハウス入り口に敷かれていたタイルを見て
まだ山田さんに設計をお願いしてもいないのにその素晴らしさに一目惚れし、
「もう絶対、この瓦タイルを敷きたい!!!」
と心に決めていたのでした。
その後、正式に山田さん率いるビオフォルム環境デザイン室に設計をお願いすることになり
「達磨窯の五十嵐さんなら、見学させてもらえると思いますよ!」
という言葉を完全に鵜呑みにし
とうとう先日、念願かなって窯元を訪ねることが出来ました。
感動の瓦まみれ
五十嵐さんの達磨窯の住所を伺い、着いたのはセブンイレブンでした。
いわゆる、住宅街。
どこに瓦屋さん というか、瓦の窯があるのだろうか…
そんな心配を胸に、到着の一報を入れると快く電話口で駐車場を案内してくださった五十嵐さん。
ドキドキしながら、私道のような道を一本入ると
あった〜〜〜!明らかにここ!!
もうここでしかない!間違えようがないほどの瓦に次ぐ瓦。
早くも胸が高鳴ります!
こんにちはー!と出迎えてくれた五十嵐さん。
ああ、いい人や。。。会って3秒で察しました。
敷地には所狭しと様々な種類の瓦がありますが、
早速私たちの求める敷き瓦を見せていただき、割り方も教えてくださりました。
素敵すぎます。
達磨窯で瓦を焼く、ということ
ちゃっちゃっちゃーと必要数を一緒になってトラックに積んでくださり
ものの30分ほどで、私たちの注文分の積荷は完了。
ここから敷地内をぐるりと案内してくださりました!
今では現役で動く物なんて、ないんじゃないかという運搬用の手押し車。
昇降機能もついており、バリバリ現役。
2台あるんだけど、1台しか使ってねんだよなー
文化的価値があるだろうから博物館に寄付したいんだけどなーとおっしゃっていました!
土をドーム状に積み上げて、手作り!された達磨窯は2機。
瓦だけでなく、著名な作家さんの作品や表札など5~7名ほどが乗合のように一回の焼成時に窯に詰め込み、みんなで交代しながら火の番をするんだそう。
中は二人入れるくらいのドーム型です。
今回我々が求めていた瓦タイルは、従来の屋根瓦を平らに作ったもの。
サイズも何種類かありますが、
年一度だけ1000枚=1年分を一回で焼き
我々のように求めてくる者・必要な建築現場があれば随時販売しているそう。
五十嵐さんの瓦タイルは、東京駅でも使用されているンダとか。
当然決まった枚数しかないので、時期によっては欠品のこともあるそうで、
今年の分はまだ残っている時期だったので必要な枚数を過不足なく購入できてよかった。。。
これも巡り合わせですね。
焼成後の瓦は、水に浸して持ち上げると すうー っと乾燥していきます。
水が蒸発しているのではなく、瓦の内部に蓄えられ表面が乾いているように見えるそうで
この特徴のおかげで、気化熱現象が起こりひんやりをキープ。
これが屋根瓦にとても適しているとのこと。
土も地元藤岡のものだと聞きました。
昔から、藤岡はいい陶土が出ることで有名だったそう。
ちなみに瓦タイルは一度焼きと二度焼きがあり、それぞれ吸水性などの特徴に違いが。
屋内は一度焼きでも大丈夫。屋外は二度焼きがおすすめとのことでした。
砕いた瓦はシャリシャリと涼しげな音。
砂利がわりに地面に敷き詰めたいとの需要もあるそうで、全く無駄はありません。
作業場の中へ
いや、、、、すごい。すごすぎる。
美しいです。
「他の同業者さんには、まだこんな古ーい機械使ってんのかって笑われるんだよ」
と笑っていた五十嵐さん。
尊いってこういうことか…と、本当に尊敬の念でいっぱいになりました私は。
時を経た道具の美しさよ!!!
五十嵐さんが日々使う道具は、指の当たる部分がすり減って綺麗な曲線に。
道具好きの私の心に響き渡りました。
用の美って、こういうことなんじゃないかな・・・感無量ってこういう状態か。。。
感情の新たな扉が開きました。
その後、気さくに半乾きの瓦の調整作業を見せてくださりました。
ぽんぽんポーンと、数十秒で一枚終わり。
この作業はこの後表で天日干しした時に、お日様に当たる面は収縮が激しく
歪みながら乾燥していく陶土を
乾いた時に歪まないように、ちょうどよく あえて歪ませる という作業。
えっ
すごすぎる
どういうことですか?基準とかあるんですか???
「全部経験、感覚なんだー」と作業を終えると、緩んだ表情で教えてくれました。
その後、お茶をいただきながら事務所で様々なお話を伺いました。
各地の作家さんのお話や、達磨窯が日本にもうあまりないこと。
お弟子さんが、独立して達磨窯を作ったけど崩落してしまったこと。
来年一月に東京で展覧会やるから見においでよ!とお誘いまでいただき、
この日はそろそろ帰らねばならない時間になってしまいました。
ものづくりの源流を知りたい。
なぜ今回、わざわざ五十嵐さんを訪ねたのか…
初めに「なんか見に行きたかった」と書きましたが、本当に素直に
ただただ、現代の日本に継承されている素晴らしい技術で、素晴らしいものづくりをしていらっしゃる
そんな世界をもう少し近くで見てみたかった、というのが本心かなと思います。
瓦タイル一枚作るのに使われる土
土をどんなふうに成形するのか
どんな窯で、どんな方がどれほどの時間と労力をかけて作られているのか
なるべく、自分たちの家のことは、素材から知っていたい。
携わってくださっている人や技術に敬意を持ちたい。
見学させていただき、五十嵐さん
紹介してくださった設計士の山田さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
大切に敷かせていただきます!
ありがとうございました。