コロナ禍のアメリカ旅行 4日目 雷の儀式

翌朝。

こちらに着いてから初めて雲を見た気がする

起きると、子どもの体が熱い…!

発熱していました。

あいにく、体温計は持っていかなかったこと(持って行けばよかった…!)と
Sさんのお宅の体温計も壊れてしまっているとのことで
正確な体温はわかりませんでしたが、触った感じ、38.5℃以上はありそうな感じ。

食欲はなさそうでしたが、水分は取れていたのと
昼間になると37℃台かな…?というくらいの
やや熱が下がったような感じになり、
外で涼しい風にあたったり
「足が痛い」と言っていたのでさすったりしながら過ごしました。

お昼過ぎごろ、旦那さんのFさんが「今日、儀式をやるよ」
「1時間後ぐらいからスタート」とのこと。

1時間後ぐらい、とのことでしたが
誰も時計を見たりはせず
Fさんもスープを飲み始めたりしてリラックスした雰囲気でした。

私も、ちょっとだけでも、と染め物用のセージを摘みに10分くらい散歩に行ったりして
儀式のタイミングを待ちました。

儀式は、元々300種類くらいあるそうで、
Fさんまで伝わっているのは、そのうちの100種類くらい。
その中からどの儀式を行うか、Fさんは1週間くらい悩んでいたそう。

最終的には、我々に会ってみてのフィーリングと
当日の天候などで決めてくれたそうです。

タイミングで儀式が始まると、ホーガンの入り口からものすごい突風が入ってきました。
みんなで東(入り口)側を向いて座っていたので、びっくり。

東に設けられたホーガンの入り口と、家に入りたいワンたち

そして儀式の最中、Fさんが祝詞のようなことをあげてくれるタイミングがあったのですが
その間、不思議と自然に子どもが眠ってしまい、とても静かに儀式を執り行うことができました。

皆で東を向いて座り、儀式に則って祈りを捧げました。

儀式の写真は厳禁とのことで、思い出しながら絵を描きました。

床には布と、毛皮が敷かれており
絵の下の四つの四角は座布団、4人で入口(東)の方を向いて座りました。
儀式には、様々な物品を使用しましたが
ここに書いていいものなのかわからないので、詳しくは省略します。

Fさんが祝詞をあげている間に、
前に置かれたアメジストが我々に思い(インスピレーション?)を送ってくるから何か思うことや、感じることがあったら大切なことだよと教えてもらいました。

我々は、二人とも共通してそれぞれの先祖が浮かんできました。

妻は、母と祖母を思い出し
夫は、先祖が握手しているイメージが浮かび

また、全ての物事は完璧だから大丈夫だよ、というような感覚もありました。

今回の儀式は、雷の儀式。

あんなに晴れていたのに、儀式と共に突風と雷が鳴り始めたのも
すごいタイミングでした。

儀式後にFさんから「どうだった? 」と聞かれ、
先祖を感じたことなどお話しすると

日本は男系家系だけど、ナバホは女系。
子どもという存在は母から生まれてくるから
母との関係・その母・その母・・・の祖先の加護や影響が大きいと考えるのです。

とのこと。
偶然なのか、ここに着いてから
Fさんのお婆さまの古い写真を庭で拾って、
Fさんにとてもとても驚かれたことがありました。
(無くしてしまい、探していたけれど見つからなかった写真だそうです。)

儀式の時にも、自分達の祖先がイメージに湧いたり
今”この私”が生きていることの不思議さを感じました。

儀式後は、日常に戻ってリラックス。
大人たちはなんとなく頭痛も収まってきて、気になるのは子どもの熱でした。

深夜になると共に、これまで感じた事がないくらいの熱感を感じ
体温計がなくても、39℃…もしかしたら40℃以上かもしれないと思うほど、
子どもの熱が上がっていきました。

0時を回った頃になると、眠りから起きて
夢の中の話のような、支離滅裂な話を始めました。

にんじんの皮を剥いて食べたい
あそこ!怖い!怖い!!
お父ちゃんは変なことするから嫌い!
ポケモンが〜〜

など…視線も合いにくく
こちらが大丈夫だよ、とかなだめても会話が成立しません。

調べてみたところ、”熱せん妄”という状態のようで
あまりにも高熱すぎると脳がドーパミンやアドレナリンを出してしまい
せん妄状態になることがあるようでした。

熱せん妄自体で脳がおかしくなる…ということはないとネットには書かれていましたが
脳炎の症状の可能性もあるとか怖いことを色々考えてしまい
なぜ熱さまし薬を持ってこなかったんだ!と、とても落ち込みながら
うなされておかしなことを言い続ける子を濡れタオルで冷やしながら
大丈夫だよと声をかけ続けながら
結局落ち着いた4時くらいまで寝ずの夜を過ごしました。

タイミングの悪いことに、熱を出したこの日が金曜日
夜が明けても土曜、日曜で病院はやっていませんでした。

それでも近くのクリニックを調べて、月曜になれば開くことがわかり
熱せん妄以外でおかしな(脳炎が疑われるような)症状がないかを観察して
月曜になっても熱が下がらなかったら病院に行こう!と決めました。

アメリカに来たことは、我々大人の思いばかりで
子どものことを考えられていなかったかもしれない
このまま治ってくれることを祈ることしかできず
本当にやるせない・悲しい一晩でした。

今後、旅行に行くときは必ず熱さまし・常備薬の類は持っていくことを誓いました。

今日は文字が多くなってしまいました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。